精子は空気に触れたら死ぬはウソ
- 処女が妊娠。
- ペッティングが原因。
- 精子はしぶとい。
教義上、婚前交渉を禁じているある宗教を信仰する家庭での話。
ティーンの娘のお腹が妊婦さんのように膨れて来た。「最近太っただけ」という娘の言葉を初めは信じていたが、体の変化はどうみても妊娠を物語っていた。
異性と関係をもったでしょう?と問いただすと、娘さんは「絶対に関係は持っていない!!」と強く否定する。
ではなぜ!?と執拗に問いただすと、娘は彼氏が居ること、そしてペッティングに及んだことを曝露した。しかし、「処女は守っている」と主張する。では何をしたか?と行為の詳細について質問すると、こんなことを話した。
二人っきりでキスをしていた時、強く欲情した彼に「したい」と迫られた。婚前交渉は出来ないので、「手でなら…」と彼女の手によって彼は出した。しかし、彼の情欲は治まらず、手によってお互いの性器をまさぐる激しい愛撫が続いたそうだ。
どうもこれが原因らしく、精液の付いた手でお互いの性器をまさぐったことが妊娠の原因となったようだ。処女懐妊カップルは“精子は空気に触れるとすぐに死ぬ”という話は信じていたため、先日行った愛撫が妊娠の原因とは夢にも思わなかったらしい。
精子が受精能力を失うということは、つまりは運動性を失うことと言い換えられる。鞭毛運動によって卵子がある方へと進む訳だが、エネルギー切れになるもしくは熱や乾燥によって鞭毛を構成するタンパク質が変性した場合がそれである。
さて、陰茎を飛び出した精子は体内に比べて空気が多い環境に曝されるのは確かだが、出された瞬間に即座に運動性を失うものだろうか?不妊治療では男性の精子をシャーレに採取し、顕微鏡で数や運動能力等をチェックするが、この際精子は運動性を失うことなく動いているところに検査の意味がある。卵子に辿りつけるかどうかは別として、精子自体はしぶといらしく、膣内で1週間程度運動性を失わないものある。
ペッティングによる懐妊は、膣内射精と比較して確率は低いことは確かだがその可能性は十分ある。
空気による精子即死説は、飲んだり顔に塗ると良いという精子美容に良い説と同様に、男性側の都合や欲望を女性に受け入れ易くするために編み出された意図ある俗説なのかも知れない。