- 山道で迷ったカップル。
- 眠っていた彼女が道案内を始める。
- 導かれた先は崖だった。
深夜の山道は昼間とはまったく違う顔を見せる。
街灯も少なく、周囲は闇に包まれ、自分がどこを走っているのかさえ分からなくなる。
これは、そんな山道で起きたとされる奇妙な話である。
道に迷ったカップル
ある夜、カップルが車でドライブをしていた。
気がつくと人気のない山道へ入り込んでしまい、いつの間にか道に迷っていた。
当時はまだカーナビもなく、運転していた男性は焦り始める。
どこへ向かえばいいのか分からない。
周囲には民家もなく、引き返そうにも暗闇で道が見えない。
そんな時だった。
彼女の道案内
助手席で眠っていたはずの彼女が突然口を開いた。
「そこを右」
男性は驚いた。
だが道を知っているのなら助かる。
そう思い、その指示に従った。
するとしばらくして再び声が聞こえる。
「次は左」
「その道に入って」
彼女は目を閉じたまま、淡々と道案内を続けた。
男性は不思議に思いながらも、その案内通りに車を進めていった。
崖の直前
しばらく走ったあと、彼女が最後の指示を出した。
「そこを左に曲がって」
男性は言われるままにハンドルを切った。
その瞬間だった。
ヘッドライトに照らされた先に何もないことに気づいた。
道路が途切れている。
崖だった。
男性は反射的にブレーキを踏み込み、車は崖の手前で停止した。
あと少しでも遅れていたら、そのまま谷底へ転落していただろう。
助手席の声
怒りと恐怖で震えながら男性は叫んだ。
「なんでこんな道を教えたんだ!」
そして助手席を振り向く。
そこには先ほどと変わらず眠っている彼女の姿があった。
目を閉じたまま、微動だにしない。
その時だった。
彼女の口がわずかに動いた。
そして聞こえてきたのは、彼女のものではない低い男の声だった。
「死ねばよかったのに……」
まとめ
彼女が本当に道案内をしていたのか。
それとも別の何かが彼女を通して語りかけていたのか。
真相は分からない。
ただひとつ確かなのは、そのカップルがあと数秒遅れていたら、この話を語る人はいなかったということである。


