「当たり屋グループに注意」のFAXはなぜ全国へ広まったのか

レトロ都市伝説
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ざくっと都市伝説
  • 「当たり屋グループに注意」というFAXやチラシが全国へ広まった。
  • 実在する危険情報のように、車のナンバーまで記載されていた。
  • その情報は本当に信用できるものだったのだろうか。

車を運転する人なら、一度は「当たり屋」という言葉を耳にしたことがあるだろう。

わざと事故を起こし、相手から示談金や見舞金をだまし取ろうとする者たち。そんな犯罪への注意を呼びかけるFAXやコピー用紙が、1980年代後半から全国で出回るようになった。

当たり屋グループが来ております。注意してください。

事故を起こした場合はその場で示談せず、すぐに警察へ連絡してください。

会社名や住所、電話番号は絶対に教えないこと。

そして、このコピーを車に備え付け、友人や知人にも知らせてください。

──そんな文章に続き、「注意ナンバー」として複数の車のナンバーが並んでいた。

中には「2台1組で行動し、前後から車を挟んで事故を起こさせる」「急ブレーキをかけ、後続車にも追突させる」といった具体的な手口まで書かれているものもあった。

「実際に何十万円も脅し取られた人がいる」と締めくくられていることも多く、読んだ人は「これは周りにも知らせなければ」と考えたのだろう。

FAXは何度もコピーされ、会社から会社へ、家族から知人へと渡り歩いた。レイアウトや文面、記載されるナンバーは地域ごとに少しずつ変化し、一説には200種類以上ものパターンが存在したともいわれている。

しかし、その後警察がリストに掲載された車を調査したところ、登録そのものが存在しないナンバーや、車種が一致しないものばかりだった。

警察は「これらの車が当たり屋グループであるという事実は確認できない」「当たり屋グループ情報に惑わされないでください」と注意を呼びかけ、この一覧は信頼できる情報ではないと判断している。

それでも、このFAXは長い間消えることはなかった。

理由の一つは、「もし本当だったら大変だから」という心理だろう。確証はなくても、家族や友人を守りたいという気持ちから、「念のため送っておこう」とコピーされ、FAXされ、やがてメールへ、そしてSNSへと受け継がれていった。

今でも「拡散希望」「知人から回ってきた」「警察関係者から聞いた」といった言葉を添えた注意喚起は数多く流れてくる。その中には本当に役立つ情報もある一方で、当たり屋リストのように善意だけで広がってしまうデマも少なくない。

あの一枚のFAXは、昔話ではない。形を変えただけで、今も私たちのスマートフォンの中に生き続けているのかもしれない。