- イギリスには「座ると死ぬ」と恐れられる実在の椅子がある。
- 椅子に座った人々が次々と不幸な最期を迎えたという噂が残されている。
- 今もなお、誰も座れないように展示され続けている。
イギリスには、「座ると死ぬ」と恐れられる実在の椅子がある。
その名はバズビーズチェア。
ただ古い椅子というだけではない。座った者が次々と命を落としたという、不気味な噂が何十年にもわたって語り継がれているのである。
呪いは一人の男の怒りから始まった
物語は18世紀、イギリス・ノースヨークシャー地方へとさかのぼる。
この椅子の持ち主だったとされるのは、トーマス・バズビーという男だった。
酒場へ置かれていたお気に入りの椅子であり、彼は他人がそこへ座ることを極端に嫌っていたという。
ある日、義父がその椅子へ腰掛けた。
怒り狂ったバズビーは激しく口論となり、やがて義父を殺害したと伝えられている。
処刑場へ向かう直前、彼はこう言い残したという。
「この椅子に座る者には死が訪れる。」
それが呪いの始まりだったと語られている。
座った者は本当に死んだのか
もちろん、これだけなら昔話で終わっていたかもしれない。
しかし、その後も奇妙な噂が積み重なっていく。
第二次世界大戦中、この椅子へ座った兵士たちが戦地から帰らなかった。
酒場の客や配送員、工事関係者など、何気なく腰掛けた人々が事故や病気で命を落としたという話も残されている。
どこまでが事実で、どこからが噂なのかは分からない。
だが、「座ったあとに亡くなった人物」が増えるたび、この椅子の名はさらに広まっていった。
やがて近所では、誰もその椅子へ座ろうとしなくなったという。
ついには床から消えた椅子
噂が大きくなるにつれ、酒場の関係者も冗談では済まなくなった。
興味本位で座る客が後を絶たなかったからである。
そこで椅子は博物館へ寄贈されることになった。
しかし、それだけでは終わらなかった。
現在、その椅子は床へ置かれていない。
誰も座れないよう、天井近くへ吊るされた状態で展示されているのである。
まるで、「もう二度と試す者が現れないように」とでも言うかのようだ。
本当に呪われているのだろうか
当然ながら、呪いの存在を証明する方法はない。
事故や病気は偶然だったのかもしれない。
後から話が脚色された可能性もある。
それでも、この椅子は今なお「座ってはいけない椅子」として展示され続けている。
もし単なる古い家具に過ぎないのなら、普通に床へ置いて展示しても問題ないはずだ。
それでも、誰も座れない場所へ吊るされている。
そして今日もまた、その椅子は静かに宙へ浮かんだまま、次に興味を持つ誰かを見下ろしている。

