ざくっと都市伝説
- 閉店間際、美容室に一人の男性客が現れる。
- 担当した女性美容師は、シーツの下で動く手に気づく。
- 店内の空気が一変した、その直後だった。
美容師の間では、ときどきこんな笑い話が語られるという。
ある日の閉店間際、一人の若い男性が美容室へやって来た。
黒縁メガネをかけ、どこか陰気な雰囲気をまとった男だったが、予約もなく飛び込んできたため、若い女性美容師がそのまま担当することになった。
男を席へ案内し、シーツを肩からかけて髪を切り始める。
そのときだった。
女性美容師は、シーツの下で男の手が股間のあたりを何度ももぞもぞと動いていることに気づく。
見間違いではない。
何度見ても、手はその場所で動き続けている。
女性美容師の頭には、最悪の想像がよぎった。
「もしかして……。」
一人では対応できないと思った彼女は、奥にいた男性美容師へ助けを求める。
事情を聞いた男性美容師は表情を変え、二人で男を囲むように立った。
そして厳しい口調で問いかける。
「お客さん、いったい何をしているんですか。」
言葉と同時に、男性美容師は男の肩からシーツを勢いよく払いのけた。
そこにあった光景を見て、二人は固まる。
男の手にはハンカチが握られ、そのハンカチで外したメガネを丁寧に拭いていただけだったのである。
シーツの外では髪を切られていたため、メガネを拭く場所がなく、膝の上で作業をしていただけだった。
店内に流れた重苦しい空気は、一瞬で別の意味の沈黙へ変わったという。
この話は、「思い込みほど恐ろしいものはない」という美容師たちの笑い話として語られることがある。
もしあなたが同じ場面に居合わせたら、やはり同じ勘違いをしてしまうだろうか。


