- 「妻の方が稼ぐ夫婦ほど別れやすい」という噂は、世界中の夫婦データで確認されているという。
- 原因は「男のプライド」でも「価値観の違い」でもないらしい。
- 本当の分かれ目になっていたのは、誰も気にしていなかったある条件だった。
「奥さんの方が稼いでる夫婦って、なんか別れやすいらしいよ」
そんな話を、飲み会や井戸端会議で一度は耳にしたことがあるかもしれない。理由を聞かれると、たいていこう返ってくる。
「そりゃ男のプライドが傷つくからでしょ」
もっともらしい話だ。男が家計を支えるべきという昔ながらの価値観が、まだどこかに根を張っていて、それが夫婦仲を壊していく——そう考えれば筋は通る。
ところが、この「男のプライド説」を大がかりに検証した調査があるという。世界の主要国、数十万組の夫婦や同居カップルのデータを集め、本当に「男は稼ぎ手であるべき」という価値観が離婚率を押し上げているのかを、国ごとに比較したというのだ。
容疑者が、次々と消えていく
調査によれば、妻の方が収入が多い夫婦は、そうでない夫婦に比べて別れる可能性がおよそ3割以上高かったという。ここまでは、これまで語られてきた話と一致する。
問題はここからだ。
「男が稼ぐべき」という価値観が根強い国ほど、妻が稼ぎ手の夫婦は別れやすくなるはずだ。ジェンダー観のせいだと言うなら、そうなっていなければ辻褄が合わない。
しかし、実際にはそうした関連は見えてこなかったという。伝統的な価値観が強い国でも、逆にジェンダー平等が進んだ国でも、妻が稼ぎ手の夫婦が別れやすい傾向にほとんど差はなかったというのだ。
「女性が経済的に自立したから、夫に依存する理由がなくなった」という説も、「釣り合いの取れる相手を求めるようになった」という説も、同じように調べられ、同じように否定されていったという。
まるで推理小説で、疑わしい容疑者が一人ずつアリバイを証明していくように。
最後に残ったのは、誰も名前を挙げなかった存在
そうして最後まで残ったのが、それまで誰も本気で疑っていなかった、ある条件だったという。
——子供がいるかどうか。
妻の方が稼いでいて、なおかつ子供がいる夫婦は、夫の方が稼いでいて子供がいる夫婦に比べて、別れる可能性がおよそ5割近くも高かったという。一方で、子供がいない夫婦同士で比べると、その差はぐっと縮まったというのだ。
ここで、少し奇妙なことに気づく。
本来、子供がいる夫婦の方が、別れにくいと言われている。家庭を維持しようとする力が働くからだ。ところが「妻の方が稼いでいる」という条件が重なった途端、その安定させるはずの力が、なぜか働かなくなってしまうらしいのだ。
子供という、夫婦をつなぎとめるはずの存在が、ある組み合わせのときだけ逆に作用してしまう——そんな話が、静かに語られている。
結局、何が夫婦を分けるのか
「男のプライドが原因だ」と言われれば、なんとなく納得してしまう。わかりやすいからだ。
けれど本当の分かれ目は、もっと見えにくいところに潜んでいたのかもしれない。誰が家計を支えているかではなく、子供がいる家庭の中で、それぞれの役割や時間の使い方がどう変わっていくのか——その積み重ねの先に、静かに亀裂が生まれていくのだとしたら。
あなたの周りにも、思い当たる夫婦はいないだろうか。
そして、その亀裂は、今この瞬間もどこかの家庭で、誰にも気づかれないまま広がっているのかもしれない。
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