- 舌を噛めば即死するという話は有名。
- 実際には自力で噛み切ること自体が難しい。
- ドラマの演出が広めた都市伝説ともいわれる。
時代劇やサスペンスドラマで、捕らえられた人物が最後の抵抗として舌を噛み切り、その場で絶命する――そんなシーンを見たことがある人も多いだろう。
その影響もあって、「舌を噛めば死ねる」「舌を噛むと即死する」という話は広く知られている。
しかし、この話は本当なのだろうか。
舌を噛み切ることは想像以上に難しい
まず前提として、人間が自分の意思で舌を完全に噛み切ることは簡単ではない。
舌は筋肉のかたまりで柔軟性があり、歯で挟んだだけでは簡単に切断できない。
食事中に誤って舌を噛んでしまい、激しい痛みや出血を経験した人は多いだろう。しかし、その程度で舌が切断されることはほとんどない。
ましてや即死するほど大量出血するような傷を、自力で一瞬のうちに作るのは極めて困難とされている。
即死の原因として語られる窒息説
それでも「舌を噛んで死ぬ可能性はある」と語られることがある。
その理由として挙げられるのが窒息だ。
舌から出血した血液が喉へ流れ込み、気道を塞いでしまえば呼吸困難を起こす可能性はある。
ただし、これもドラマのように数秒で起きる話ではない。
さらに口の中は常に唾液で湿っているため、血液が固まりにくい環境でもある。
そのため、舌を噛んだからといって即座に窒息し死亡するケースは現実的ではないと考えられている。
なぜ「舌を噛んで死ぬ」が広まったのか
では、なぜこれほど有名な話になったのだろうか。
一説には、時代劇や戦国物語の演出が大きく影響しているといわれる。
捕虜になった武士や忍者が秘密を守るため自害する場面を、短時間で視聴者に伝える必要があった。
そこで「舌を噛んで絶命する」という演出が定着し、それが現実でも可能だと信じられるようになったという説である。
また、実際には重傷を負ったり失血したりした事例が、長い年月の中で誇張されて語り継がれた可能性もある。
都市伝説としての舌噛み自殺
都市伝説には、現実の出来事に少しの誇張や誤解が加わって生まれるものが少なくない。
「舌を噛んで即死する」という話も、その典型例といえるだろう。
実際には舌を噛み切ること自体が難しく、仮に大きな傷を負ったとしてもドラマのように瞬時に命を落とす可能性は極めて低い。
それでも長年にわたり信じられてきたのは、人々が物語の中で見た強烈なイメージが記憶に残り続けたからなのかもしれない。
まとめ
「舌を噛んで即死する」という話は広く知られているが、医学的には極めて現実性が低いと考えられている。
自力で舌を噛み切ることは難しく、即死につながるほどの大量出血も起こりにくい。
それでも現代まで語り継がれているのは、時代劇やサスペンス作品が生み出した印象的な演出の力なのだろう。
もしかすると私たちが「常識」だと思っていることの中にも、こうした都市伝説がまだ数多く紛れ込んでいるのかもしれない。


