東南アジアのダルマの都市伝説

ダルマ(達磨)
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ざくっと都市伝説
  • 東南アジアの村で誘われた謎のショー
  • 獣と呼ばれた女性から聞こえた悲鳴
  • 男性が気付いた恐ろしい真実とは

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密林の町で出会った男

ある男性が東南アジアを一人旅していた時の話である。

その日訪れたのは、観光地から何時間も離れた小さな町だった。

町の向こうには深い密林が広がり、日が沈むと辺りは驚くほど静かになる。

宿に戻った男性は、近くの酒場で軽く酒を飲んでから休むつもりだった。

しかし、その夜はなかなか眠る気になれなかった。

旅先特有の高揚感が残っていたからだ。

すると隣の席に座っていた男が不意に声を掛けてきた。

「面白いものを見ないか?」

男はにやりと笑った。

「今夜だけの特別なショーだ」

どこか胡散臭かった。

だが退屈していた男性は、少しだけ興味を抱いてしまった。

町外れのコテージ

男について歩くこと十数分。

人通りは消え、民家の明かりも見えなくなった。

やがて男が立ち止まった先には、古びたコテージが建っていた。

窓には布が掛けられ、中の様子は見えない。

扉を開けると、すでに十数人ほどの男たちが集まっていた。

誰もが異様な興奮を隠せない様子で、入口の方を見つめている。

男性も輪の端に腰を下ろした。

何が始まるのか分からない。

だが、その場の空気だけで普通の催しではないことは理解できた。

今夜の獣

しばらくして、一人の男が部屋へ入ってきた。

どうやら主催者らしい。

男は集まった客を見回しながら言った。

「今夜の獣をご紹介します」

部屋の空気がさらに熱を帯びた。

次の瞬間。

奥の扉が開いた。

そこから現れたのは、トラの毛皮のようなものを身にまとった一人の女性だった。

女性はうつむき、足取りもおぼつかない。

客たちは歓声を上げた。

しかし男性だけは違和感を覚えた。

女性の表情には感情がなかった。

まるで何かを諦めてしまった人間の顔だった。

聞こえた悲鳴

部屋の熱気は次第に異様なものへと変わっていった。

男性は居心地の悪さを感じ始める。

その時だった。

女性が突然、甲高い悲鳴を上げた。

だが言葉になっていない。

何かを必死に伝えようとしているようなのに、うまく発音できないのだ。

最初は意味が分からなかった。

しかし耳を澄ませた瞬間、背筋が凍った。

「……た……す……け……て……」

男性にはそう聞こえた。

空耳かもしれない。

そう思いたかった。

だが次に聞こえた声で確信する。

「……や……め……て……」

間違いない。

日本語だった。

女性は日本人だったのである。

男性が見たもの

周囲の男たちは気付いていない。

女性の声が理解できる者などいないのだ。

だが男性だけは違った。

女性が必死に助けを求めていることを理解してしまった。

全身から嫌な汗が噴き出した。

すると主催者が近寄ってきた。

「あなたは参加しないのですか?」

その笑顔が妙に不気味だった。

男性は無理やり平静を装う。

「今日は遠慮しておくよ」

そう答えながら立ち上がった。

主催者は少し残念そうな顔をしたが、引き留めはしなかった。

男性は振り返らずコテージを後にした。

そして誰も真相を知らない

翌朝。

男性は予定を変更し、その町を離れた。

昨夜の出来事を警察に話そうとも考えた。

だが証拠は何もない。

場所さえ正確には覚えていなかった。

酒を飲んでいたこともあり、悪夢だったのかもしれないと自分に言い聞かせた。

しかし今でも忘れられないという。

密林の奥にある小さな町。

窓を塞がれたコテージ。

そして、日本語で助けを求めていた女性の声を。

あの夜、本当に聞いた言葉だったのか。

それとも旅先で見た幻だったのか。

真相を知る者はいない。