- 深夜の掲示板に突然始まった実況。
- 検索しても見つからない謎の駅。
- 最後の書き込みを残して消息が途絶える。
ネットで語られる怖い話の中でも、特に有名なものの一つが「きさらぎ駅」である。
その始まりは創作小説でも雑誌の記事でもない。2004年1月8日の深夜、2ちゃんねるオカルト板へ投稿された一連の書き込みだった。
誰も知らない駅名。
辿り着けない場所。
そして最後に残された「逃げる」という言葉。
20年以上が経った今でも、この話は語り継がれている。
深夜の掲示板で始まった実況
2004年1月8日23時14分頃、「はすみ◆KkRQjKFCDs」と名乗る人物が2ちゃんねるオカルト板へ書き込みを始めた。
帰宅途中の電車に乗っていたはずなのに、様子がおかしいという。
いつもなら数分ごとに停車するはずが、20分以上も走り続けている。
車内にいる乗客は眠っている。
窓の外も暗く、どこを走っているのか分からない。
やがて電車は停車した。
その駅名を見たはすみは掲示板にこう書き込む。
「きさらぎ駅という駅に着きました」
住人たちはすぐに駅名を検索した。しかし、どこにも存在しない。
その瞬間から、ただの帰宅報告は奇妙な実況へと変わっていく。
誰も知らない駅
駅は無人だった。
周囲に店もない。
タクシーも見当たらない。
公衆電話もない。
家族へ迎えを頼もうにも、自分がどこにいるのか説明できない。
警察へ連絡しても真剣に取り合ってもらえなかったという。
駅の周辺には草原と山が広がっているだけだった。
不安になったはすみは、掲示板の住人たちへ助言を求める。
住人たちは「線路沿いを戻ってみてはどうか」と提案した。
はすみはその言葉に従い、暗闇の線路を歩き始める。
トンネルで起きた奇妙な出来事
ここから話はさらに異様になっていく。
歩いている途中、どこからともなく太鼓や鈴の音が聞こえてきたという。
祭り囃子のような音だったとも言われている。
周囲に人影はない。
しかし音だけが近付いたり遠ざかったりする。
さらに片足の老人らしき人物に声を掛けられたという書き込みも残されている。
だが次の瞬間、その姿は見えなくなった。
本当に存在した人物だったのか。
それとも暗闇が見せた幻だったのか。
掲示板の住人たちも困惑し始める。
伊佐貫トンネルの先で
やがてはすみは「伊佐貫」と書かれたトンネルへ到着する。
長いトンネルを抜けた先で、一人の人物と出会った。
その人物は車に乗せてくれると言う。
深夜の山中でようやく見つけた助けだった。
しかし安心したのも束の間だった。
車内で聞かされた現在地は「比奈」だという。
だが、なぜそこへ辿り着いたのかは分からない。
そして運転手は突然、「あるところまで行く」とだけ言い残し山の方へ歩き始める。
会話もなくなった。
ただ無言で進んでいく。
その異様な状況を、はすみは掲示板へ書き込み続けた。
最後の書き込み
携帯電話のバッテリーは残りわずかだった。
はすみの投稿は徐々に短くなっていく。
独り言のような文章が増え始める。
そして最後に残されたのが有名な一文である。
「隙を見て逃げる」
この投稿を最後に、はすみからの書き込みは二度となかった。
掲示板の住人たちは待ち続けたが、続報は現れなかった。
7年後に現れた「はすみ」
それから7年後の2011年。
都市伝説を扱うサイトのコメント欄に、はすみ本人を名乗る人物が現れる。
そこにはこう書かれていた。
「7年ぶりに普通の世界へ戻って来られた」
まるで異世界に迷い込んでいたかのような内容だった。
しかし本人である証拠は存在しない。
本当に本人なのか。
あるいは後から現れた第三者なのか。
現在も真相は不明のままである。
きさらぎ駅は実在するのか
きさらぎ駅についてはさまざまな説が語られている。
- 創作として投稿された説
- 夢や幻覚の体験談だった説
- 異世界へ迷い込んだ説
- 実在しない駅へ辿り着いた説
どの説にも決定的な証拠はない。
ただ一つ確かなのは、深夜の掲示板で行われた実況が多くの人を引き込み、日本を代表するネットロアになったという事実だけである。
まとめ
きさらぎ駅が本当に存在するのかは分からない。
しかし、存在しないはずの駅名を見た瞬間から始まる実況、暗闇の線路、伊佐貫トンネル、そして最後の書き込みは今なお強い印象を残している。
もし深夜の電車で見覚えのない駅名が表示されたら。
そしてスマートフォンで検索しても何も出てこなかったら。
あなたはその駅で降りるだろうか。


