- 心霊スポットとして有名な峠のトンネル。
- 肝試しを楽しんでいた4人の若者。
- 最後に試されたのは友情だった。
深夜の山道を走る一台の車。
乗っているのは4人の若者だった。
彼らの目的はひとつ。
地元で「出る」と噂される峠のトンネルへ肝試しに行くことだった。
そのトンネルでは、夜中に女性の霊を見た。
誰もいないはずなのに声が聞こえた。
そんな不気味な話が昔から語られていた。
肝試しの記念撮影
やがて4人は目的のトンネルへ到着する。
入口は暗く、昼間でも薄気味悪そうな雰囲気だった。
しかし若者たちは4人もいる。
最初こそ緊張していたものの、すぐに冗談を言い合う余裕が生まれた。
「思ったより普通じゃないか」
「何も出ないな」
そんな軽口を叩きながらトンネルの中ほどまで進む。
そして記念に写真を撮ることにした。
シャッターが切られ、肝試しは終わった。
少なくとも、その時までは。
運転手だけが動かない
車へ戻った4人は、それぞれの席へ乗り込んだ。
後は帰るだけである。
ところが妙なことに気付く。
運転席に座るはずの男だけが車に乗ろうとしないのだ。
助手席の友人が声を掛ける。
「何やってんだよ」
「早く帰ろうぜ」
だが男は答えない。
ただ黙ったまま立ち尽くしている。
そしてゆっくりと仲間たちの方を見た。
友達だよな?
男の顔は青ざめていた。
冗談を言っている様子ではない。
彼は震える声でこう言った。
「俺たち……友達だよな?」
突然の言葉に3人は戸惑う。
だがすぐに笑いながら答えた。
「何言ってんだよ」
「当たり前だろ」
「そんなの決まってるじゃないか」
男はその返事を聞くと、今にも泣き出しそうな顔になった。
そして小さく言った。
「じゃあ……俺の足元を見てくれ」
白い手
3人は何気なく視線を下げた。
次の瞬間、全員の顔から血の気が引いた。
男の足首を、白い手が掴んでいたのである。
一本ではない。
地面から突き出た二本の白い手が、逃がすまいと強く握りしめていた。
生きている人間の手ではない。
その場にいる誰もがそう感じた。
そして次の瞬間――。
3人は一斉に車から飛び降りた。
仲間を助けようとはしなかった。
ただ恐怖のままに走った。
振り返ることもなく。
消えた友人
どれほど走ったのか分からない。
やがて3人は我に返った。
本当にこのままでいいのか。
友達を置いて逃げてしまった。
後悔と罪悪感に押されながら、再びトンネルへ戻ることにした。
しかし、そこにあったのは静寂だけだった。
車はない。
友人の姿もない。
タイヤ痕すら残っていなかったという。
まるで最初から誰もいなかったかのように。
まとめ
「友達だよな?」は、古くから語られている後味の悪い怪談のひとつである。
恐ろしいのは白い手なのか。
それとも仲間を見捨てて逃げた友人たちなのか。
話を聞いた人によって感じ方は違うだろう。
もちろん実際に起きた出来事かどうかは分かっていない。
しかし、この話が長く語り継がれている理由ははっきりしている。
もし同じ状況になった時、自分は本当に友達を助けられるのか。
誰も自信を持って答えられないからである。


