- みかん畑に現れる白い人影。
- 幽霊騒ぎの真相はすぐに判明した。
- それなのに噂は消えなかった。
正体が判明したはずの幽霊。だが、その後も同じ姿の人影が現れ続けたという。
四国地方のとあるトンネル付近。
そこには長年、奇妙な幽霊話が語られている。
深夜になると現れる白い人影。
全身を白い布で覆ったその姿は、まるで子供が描く幽霊そのものだったという。
当初、地元では本物の幽霊が出ると噂になった。
しかし後に、その正体は意外な形で明らかになる。
みかん農家のおじさんだったのである。
ところが――
話はそこで終わらなかった。
幽霊の正体
トンネル近くには広いみかん畑があった。
収穫期になると、夜中に畑へ忍び込む泥棒に悩まされていたという。
そこで農家のおじさんが思いついたのが、幽霊作戦だった。
白いシーツを頭から被り、夜の畑を歩き回る。
遠くから見れば十分に不気味だった。
噂は瞬く間に広がり、
「あのトンネルには幽霊が出る」
と地元で有名になった。
やがて真相も発覚する。
誰かが至近距離で目撃したことで、幽霊の正体がおじさんだったことが知られてしまったのだ。
人々は笑った。
怖い幽霊騒動の正体が、みかん泥棒対策だったのだから。
まだ続けているのか
それから数週間後。
ある夜、一台の車がトンネル付近を通過していた。
助手席の男性が窓の外を見て声を上げる。
「あれ見ろよ」
道路脇には、例の白いシーツ姿が立っていた。
男性は苦笑したという。
「正体がバレたのに、まだ続けてるのか」
しかし隣で運転していた友人は笑わなかった。
むしろ顔色が変わった。
そして静かに尋ねたという。
「本当に見えたのか?」
本物になった幽霊
運転手は震える声で続けた。
「知らないのか」
「おじさんがやっていたのがバレた後、その格好のまま車にはねられたんだ」
事故だったとも言われる。
深夜で視界が悪かったとも言われる。
だが結果として、おじさんは命を落としたという。
助手席の男性は言葉を失った。
では今見えたものは誰だったのか。
いたずら好きな別人か。
噂を真似した誰かか。
それとも――。
車が通り過ぎた後も、白い人影は動かず立ち尽くしていたという。
まとめ
幽霊騒ぎの正体が人間だった。
それだけなら笑い話で終わる。
この話が怖いのは、その後である。
正体が判明したことで安心したはずなのに、再び同じ姿が現れる。
しかも、その人物は既にこの世にいないとされている。
人は正体不明のものを恐れる。
だが本当に恐ろしいのは、正体を知っているはずのものが再び現れることなのかもしれない。
もし深夜のトンネル脇で、白いシーツを被った人影を見かけても――
安心してはいけない。それはもう、あのおじさんではないのだから。


