人は脳の10%しか使っていない
- 人間の脳は10%しか使われていない。は嘘。
- 実際は100%使われていて、10%なら人は活動できない。
- そもそも10%がどういう意味なのかはっきりしていない。
『人間は脳の10%しか使っていない・使われていない』それ以上を使える超人、超能力者、スーパーヒーローが活躍する漫画や小説、映画は数多く存在する。
普通の人ができないことができる特殊能力を発揮するために、脳の未知の領域が働いているとういのうはロマンがある。しかし、実際は脳は100%使われていて、10%しか使われていなければ、寝たきりで人工呼吸に繋がれた状態になってしまう。
「心理学の父」と言われるハーバード大学のウィリアム・ジェームズ教授が『人間は潜在的な精神能力の10%しか発達させられない』と言っていた。という一文が、1936年に出版された自己啓発本「人を動かす」に書かれていて、これが「10%しか使っていない」か改編され広まったとされている。ジェームズ教授が「脳の10%」について語ったという記録はなく、この本に書かれている以外で確認することができない。
脳の10%とは
そもそも「脳の10%」とはどういうことなのか。体積の10%。エネルギー代謝の10%。血中酸素の10%。なにをもって10%と定義するのかはっきりしない。
感情や理性、思考などの前頭葉。話すときに働く言語野。言葉を理解するために働く側頭葉。体を動かすための運動野。触覚を処理する感覚野。目から入る情報を処理する後頭葉など脳は領域ごとに処理する分野が決まっていて、それらが複雑に連携して活動している。そのため脳は眠っているときでも活動していて、脳の一部だけが働き一部が休んでいる状態はない。
現代の脳の活動を測定するツールは、脳の血流変化を測定し、どの領域が活発に動いていて、どの領域が低下しているのか知ることができる。何をしているかで活動量が低下することはあっても完全に停止することはない。つまり人間は脳を100%使っているので、「脳の未知の領域」を使い、特殊能力に目覚めるということはないのである。
熟練するほど脳は働かない
もし『未知の領域』があったとして、異能力に目覚めても脳が活発に活動するかというとそうでもない。
昔は苦手だったことがいつ頃からか簡単にできるようになっている経験は誰でもあるはず。
小学生のころは必至で覚え難しいと感じていた九九も大人になるとあまり意識せず計算できている。
パソコンを使い始めたころはキーボードを打つのが遅かったが、いまではブラインドタッチ。
スマホのフリック入力も初めは遅かったのにスラスラ。
苦手だったころは脳のその分野は活発に活動するが、熟練するにつれて脳は活発に働かずに処理できるようになる。達人になるほど脳を使わなくなる。
異能力に目覚めた当初は脳の10%以上を使うことになるかもしれないが、やがて熟練することで使用する量は減ってくる。