コックリさんに聞いてはいけないこと
- コックリさんは世界中にあり、日本では1970年代に大ブームになった。
- コックリさんによる怪奇現象など、さまざまな問題が起き禁止する学校があった。
- 怪奇現象で怖い思いをした1つの出来事を紹介。
コックリ(狐狗狸)さんとは狐の霊を呼び出す降霊術の一種で、呼び出した狐の霊がさまざまな質問に答えてくれるというもの。キューピッドさん、エンジェル様など名前や遊び方は、時代や地域によって異なる部分があるが、50音、数字、はい、いいえ、など、コックリさんが答えるための言葉が書かれた紙と硬貨(10円玉)が使われる。
参加者全員が硬貨の上に指を置き、コックリさんを呼び出して質問すると、紙の硬貨が勝手に動き答えてくれるというもの。
コックリさんが来ている間は硬貨から指を離すのはダメで、最後はきちんとお願いしお帰りいただかないといけない。
コックリさんのような交霊術は世界中にあり、レオナルド・ダ・ヴィンチもこの行為、現象について言及していて、15世紀のヨーロッパでは既に行われていたことがわかっている。
1970年代には小中学生の間で大流行し、さまざまな事件や問題が起き、校則で禁止する学校もあった。そんな時代のできごと。
ある中学校の放課後、二人の女子生徒(AさんとBさん)が教室に残りコックリさんを始めた。
「コックリさん、コックリさん、おいでください。」
教室に残っていた別の女子生徒がその様子を見ていた。
「○○君が好きなのは誰?」「いつ彼氏ができますか?」など、年頃の女子らしい他愛のない恋愛相談がほとんどで、コックリさんを呼び出した二人はもちろん、周りで見ていた女子生徒も、こっくりさんの答えにキャーキャー言いながら楽しんでいた。
「あなたは誰ですか?」そうAさんが質問した途端に教室の空気が変わった。AさんとBさんの指が置かれた10円玉が、どの文字にも止まることなくメチャクチャに動き始めた。AさんとBさんは半泣き状態。周りで見ていた女子もあ然としている。
「もう帰ってもらいなよ!」誰かが叫び、Aさんが「お帰りください」とコックリさんにお願いすると、10円玉がピタリと止まった。
止まったのは「いいえ」の上。「お願いします。お帰りください。」何度お願いしても10円玉は「いいえ」の上から動かない。怖くなったBさんは、10円玉から指を離し泣き崩れてしまう。
「指を離したらダメだよ!」「ヤバいよ!」など、周りの女子が騒ぐ中、「どうすればいいですか?」とAさんが聞くと、「 カ ワ 」という答えが返ってきた。
学校のすぐ近くには川が流れている。Aさんは10円玉を握りしめ、その川を目指して走り出した。見ていた女生徒たちもその後を追う。
川に着いたがどうしたらいいかわからない。周りを見渡してもいつもと変わらない穏やかな風景。
「川に投げ込むのかな?」などと、どうするべきなのかみんなで話していると、右手を強く引っ張られたかのようにAさんが倒れた。そのままAさんの右手を「見えない何か」が引っ張ている。引きずられまいとAさんは左手と足を地面に立てこらえようとし、その場にいた生徒全員でAさんにしがみつくが少しずつ川へ近づいていく。まるで「見えない何か」と綱引きをしているように、ゆっくりとゆっくりと川へと引っ張られる。
「熱い!熱い!右手が熱い!」Aさんが悲鳴を上げると、「10円玉を捨てて!早く捨てて!」と誰かが叫ぶ。「指が開かない…熱いぃ…」Aさんは泣きながら小さな悲鳴を上げた。
一人がAさんの指を開かせようとするが、強く握られたAさんの指は開かない。
「手伝って!」
数人がかりでAさんの指を開かせることに成功し10円玉を川へ投げ込むと、Aさんを引っ張る力は消えた。
10円玉を川へ投げ込んだ生徒は「普通の10円玉だった。特に何ともない。」と言っていたが、Aさんの右手のひらには、焼けた10円玉を押し付けたような火傷ができていた。